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火葬・葬儀

2005/10/24

『おはよう』と言いながら変わらずほっぺを触り、そしてオルゴールを鳴らしました
棺に入ってすっかり冷たくなったハル・・・

『あれ?』 気のせい?ハルの表情が和らいでいる・・・?
会社の人に聞くと、筋肉が和らいで表情が柔らかくなるそうです

そうか~・・・、ハル苦しくなくなった様な顔になったね
とってもいい顔になってるよ



今日は火葬の日、ハルが骨になってしまう日
ハルを見れる最後の日・・・

ダイゴにも『ハルは今日、骨になるんだよ』と言っていました
『え!!どして!?』とビックリしていたけど、私はこう言いました
『人間は死んでしまうと、みんな骨になるんだよ。
そうすると天国に行けて幸せに暮らす事ができるんだよ』

ダイゴは少し考えてから言いました
『ボクは骨になるの怖い・・・死ぬのは怖い・・・死にたくない・・・』
『大丈夫だよ、ダイゴが骨になるのはず~っとず~っと先の話で、
ダイゴがお爺ちゃんになった後の話なんだから。
そしたら天国でみんなで仲良く暮らす事ができるんだよ』

ダイゴには酷な話だったかな・・・
でも今はうまく話す自信なんてまったくありませんでした

でもダイゴはそれからハルにお線香をあげるときは
『骨になったらみんなで仲良く暮らそうね』と言う様になりました


そんなダイゴを見るのも切なくて・・・



バタバタしているうちにご住職がいらっしゃいました

出棺の前に、『出棺経』といってご住職にお経を読んでもらいます
その後、小さな棺に『お別れ花』と言ってお花を入れます

そして棺の蓋を閉め・・・
ハルの顔を見るのが最後になる時がくる・・・

流れはわかっていても、もう顔が見れなくなるのは嫌だ・・・

出棺経を唱えている間、またハルの事を思い返していました



ハルは産まれる前、ママのお腹の中でもの凄く暴れていたよね、あんなに元気だったのにね
産まれてからは、あまり手がかからなかったね
ミルクも沢山飲んでくれたし、沢山笑ってくれた
朝起きて目が合うと『ニコッ』と笑ってくれたよね
どうしてこんな事になっちゃったんだろうね・・・



そんな事を想っているうちに出棺経はすぐ終わり、
お別れをする時間になってしまいました


小さな棺が出され、みんなが棺の前に集まってきました

そして一人一人、綺麗なお花をハルの体の周りに敷き詰めました
あっという間にハルはお花に囲まれていきました
私もハルの顔の脇にお花を置きました
パパもダイゴもハルの顔の脇にお花を置きました
病院で一緒だった仲間も一緒です

ハル、お別れだね・・・

柔らかかったハル、笑顔が可愛いかったハル、本当に本当にありがとう
私達の子供として産まれて来てくれてありがとう
もの凄く短い間だったけど・・・でも幸せだったよ!楽しかったよ!
ハルは、ず~っとず~っと心の中にいるから・・・

ごめんね、ごめんね、守ってあげられなくてごめん・・・
こんな事になるんだったら・・・もっとかまってあげたかった
こんな事になるんだったら・・・あの日、ずっと一緒にいればよかった
こんな事になるんだったら・・・あんな所にあずけなかった

こんな事になるんだったら・・・悔やんでも悔やみきれない
ごめん、ごめん、ハル・・・もう一度抱っこしたいよ

そして、棺の蓋が閉められてしまいました・・・




位牌はパパが、骨壷は私が、火葬場用の供物はダイゴが持つ事になりました

その骨壷を渡された時―

・・・え!?・・・何これ・・・こんなに小さな骨壷?
それはあまりにも小さく、頭も入らないような物でした
大丈夫なのかな、入るのかな・・・正直そう思いました



そして霊柩車に乗り込む時、小さな事件がありました

姪っ子とダイゴがケンカを始めてしまいました
でもそのダイゴの怒り方が尋常じゃなくて・・・

結局、骨壷をお義姉さんにあずけてダイゴを抱っこして霊柩車に乗り込みました

あんなに怒ったダイゴははじめて見ました
ダイゴもこの怒りや悲しみをどこにぶつけたらいいのかわからなくて、
結局2歳の姪っ子に当たってしまったんでしょう



抱っこをして『大丈夫だよ、大丈夫だよ』と言うと
少し落ち着いて来ました

ふと気づくと、会社のいつものメンバーが出口にずらっと並んでお見送りをしてくれていました
ありがとう、声をかけられなくてごめんなさい・・・ありがとう


そしてお義姉さんから骨壷をもらい、リムジンは火葬場に向けて出発していきました
ダイゴは位牌を持ちたくて持ちたくて、またダダをこね始めました

『大事に持ってね、これはハルなんだから・・・』
そう言うと『うんわかった』と大事に抱っこしていました


火葬場に付くと、もう一度ハルの顔を見せてもらえるようにお願いをしました
ハルは変らず眠っているようでした

『ハル~・・・』 お別れだね・・・
顔や肩を何度も何度も触りました
もうハルに触るのも最後、ごめんね、ごめんね、と言いながら、何度も何度も触りました

そして・・・蓋が閉められ、本当にハルを見る事は出来なくなってしまいました・・・


小さな棺が窯に入れられ・・・
扉が閉められました・・・

ボーっと扉の前で立っていました
いつの間にか火が入っていました



その後の事はあまり覚えていません





そして集骨の時間になり、窯からハルが出てきました
そしてその時、骨壷の小さな意味がわかりました

窯から出てきた台には、ほとんど骨は残っていないハルが乗っていました
残っているのは肩や太もも、腕などの骨だけでした
頭は・・・骨が薄いので・・・



私はあまりにもビックリしすぎて涙も出ませんでした
ボーっとハルを見つめる事しか出来なかった・・・
でも棺の上に乗せた千羽鶴は綺麗な燃えカスとして足元に残っていました


私達は頭の骨を、親戚達は体の骨を集めました
本当は全部拾いたかった・・・でも言えませんでした
そして、もう骨壷に納めようかと言う時に台の上に乗っているハルの小さなかけらを見つけました

あ・・・

とそのかけらをボーっと見つめていた時
仲の良い親戚のお姉さんが言ってくれました
『ここにまだあります』

良かった・・・これですべて揃ったはず

バラバラになったハルは小さな骨壷に入れられてしまいました
私は小さくなってしまったハルを大事に大事に抱きました
そう、まだ抱っこはできるんだよ・・・


そして葬儀場に戻り、すぐに告別式が始まりました
ダイゴはやっぱり寝てしまって式に出る事ができませんでした

私はなんだかボーっとしてしまって・・・

もうハルと会えないんだとか、もう体を抱っこ出来ないんだとか
考えているうちに告別式は終わりを迎えようとしていました

最後の喪主の挨拶で、パパと私がみんなの前に出ての挨拶がありました
昨日から淡々と話していたパパですが、最後の方になると段々声が震えて来て・・・
パパも辛いのにね、一生懸命動いてくれてありがとう

ハルはパパに抱っこされるのが好きだったね
パパがハルを寝かしつけてくれていたよね
パパが『おいで~』って言うと、『ダ~』って言いながら手を伸ばしていたよね
ハルはパパの事が大好きだったね
ハル、ありがとう・・・

立派にパパの挨拶が終わり、式が終わりました


そして会食も終わり、会館を後にする前にお世話になった会社の人達に挨拶をしました
後で聞いた話ですが、会社の人達も涙をこらえながら式を進行していたそうです

本当にありがとうございました・・・




そしてアパートに戻る頃には外は暗くなってきていました

大事にハルを抱っこしながらアパートに戻り、会社の人に祭壇を作ってもらいました
3段の祭壇の上には骨壷、2段目には遺影写真、
そして一番下にはお線香をあげる場所を作ってもらいました

周りには供物や花が沢山あがってとても綺麗な祭壇になりました
でも、一番上にある骨壷が2段目の遺影写真の陰にすっぽり隠れてしまって・・・
とても切ないものがありました・・・

『役目』の一つが終わり、ホッとした自分とこれからの事を考える自分と・・・
遺影写真を見つめながら、ハルは今どこにいるのか、
何を考えているのか、ボーっと座りながら考えていました

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