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通夜

2005/10/23

『おはよう』と言いながら変わらずほっぺを触った
変わっていたのはハルのほっぺが冷たかった事

『ハル~・・・』

やっぱり夢じゃなくて現実なんだね
ハルは死んじゃったんだ・・・


お線香をあげながらボーっとハルの前に座っていた

お線香をあげるところにはすでにハルの元気だった頃の写真が飾ってある
そしてハルの棺には病院でいつも一緒だった仲間が入っている

その仲間の一人に人形のオルゴールがある
おしりのヒモを引っ張ると『ブラームスの子守唄』が流れる
ドライアイスが融けるので、あまり棺の蓋を開けていられない
蓋を閉めるときは必ずオルゴールを鳴らしながら蓋を閉めていた



ある程度時間が経つとみんなが起きて来た
ダイゴも普通に見える

昨日の事は覚えていないのかな・・・


今夜ハルのお通夜がある
でも外は雨・・・
一度帰った親戚も続々と集まって来た


そして会社(葬儀社)の人も来る時間、やっと遺影写真が決まった
GWにみんなで遊園地に行ったときに撮ってもらった写真

かわいいな・・・

そして祭壇も飾り付けられながら、また打ち合わせ




赤ちゃんの葬儀は密葬する人もいるみたいだけど私は嫌だった
だって・・・寂しいじゃない

色んな考えの人がいるから密葬が悪いとは言わないよ
けど、私は大人と同じようにちゃんと立派なお葬式をあげたかった

そのためにこの会社に呼ばれたと思っているから・・・





祭壇より少し離れたところで打ち合わせをしていたんだけど・・・
気になる、祭壇の方で何かを飾ろうとしている!
遺影写真だよな~、あ~見えない!
もっとこっち向けてよ~!

打ち合わせどころじゃなかった


そして打ち合わせが終わる頃、祭壇にちゃんと遺影写真が飾られた


『あぁ・・・』

本当にいい写真で自然に涙が溢れて止まらなかった
極力人前では泣かない様にしてたけど・・・やっぱりダメだ

会社の人もわかってくれていて、知らないふりをして作業してくれた

ボーっと遺影写真を見ていたら、会社の人が言った

『ハルちゃん祭壇の方に移動してもいいですか?』
あ、そうか・・・

『すみません、お願いします』
そして小さな棺は綺麗なお花の祭壇の下に飾られた

『ハル~、綺麗だね見える?』 
そんな事を言いながら棺の中に入れたオルゴールをまた鳴らして蓋を閉めた
蓋を閉めてもすぐ顔を見に来てしまうので、きっとドライアイスは融けてしまっていたんじゃないかな


ダイゴもすっかりお線香をつけてナムナム(合掌)するのがうまくなっていた
それからハルのほっぺを触るんだけど、顔を近づけると『クサイッ』って言う様になってきた

あ~、やっぱりドライアイスが融けてきちゃったか・・・




夕方になると外はいつの間にか雨がやんでいたらしい
会館の中にいると全然わかんない



喪服に袖を通す時間には、いつの間にか式場にはものすごい数の人が集まってくれていた

みんなハルにお別れに来てくれた人達・・・
ありがとう


お通夜が始まる前にハルの動画が流れた
元気だった頃のハルの『動いているところ』を、どうしてもみんなに見せたかった


かわいいね、どうしてこんな事になっちゃったんだろうね・・・
この頃はハイハイの準備で可愛い動きをしていたね

『おいで』って言うと手を伸ばしてくれたよね
離乳食も一杯食べてくれたよね
歯も生えて・・・


あやすとケラケラ笑ってくれたよね・・・なのにどうして?・・・


そしてその後、ご住職が入場し通夜が始まった


ボーっと遺影写真を見ながら、お経を聞く・・・
ハルの為のお経
お兄ちゃんはそのお経を聞きながら眠ってしまった


葬儀社 『ご遺族の方、ご焼香願います』


来ていただいた方々に一礼し、ご住職に合掌、そしてハルにも合掌し焼香をした

もうすぐお別れだねハル、嫌だよね、でもちゃんと天国に行くんだよ・・・
悲しいけどママはいつもハルの事を思っているから



そして参列者の焼香が始まった
お辞儀をしながら誰がきているのか確認する
保育園の先生が来ているか確認する
話が聞きたかった
ハルは病気じゃなかった
先生が目を話した10分くらいの間にハルは息が止まっていた
その間に苦しいような様子があったかもしれない
もしかしてうつ伏せになって布団に埋もれていたかもしれない
発見した時の事は先生にしかわからない・・・


いた・・・



焼香が終わるとご住職の話が始まった
ご住職も実は幼い我が子を事故で亡くしたそうだ
『三途の川』は結構岩や石があってゴツゴツしていて流れも速く、
子供は渡るのがなかなか難しいらしい

鬼が来て流されないように岩陰に隠れたりしながら渡る・・・
そうして後から来た大人に助けられて川を渡るそうだ・・・


ハルはまだ赤ちゃんなのに・・・心配だよ


でも、きっとお父さんが迎えに来ているはず
私の父は26歳という若さで亡くなっている
お父さん、お願いね・・・
ちゃんと連れて行ってね



そして通夜ぶるまいが始まった
みんなに挨拶や説明をするので手一杯、頭も回らない・・・
みんなに『ありがとう』って言うのが精一杯だった


そしてわざと明るく振舞った
みんなが暗い顔で『あの目』をしないように。
哀れんで見られるのはもう沢山だった・・・

『大丈夫です』が、 今の口ぐせだ・・・
泣いたり笑ったり大変な1日だった


あれ?そういえば保育園の先生・・・


いない・・・


何時くらいになったんだろう、ハルを顔を見てから皆が帰っていった



でも通夜に参列できなかった人達も後から結構来てくれた

仲がいい友達も大体の参列者が帰った後に来てくれたので、結構話をする事ができた
私も喪服を脱いで普通の服を着た


ここの会館は式場の隣に控え室がある為、
24時間式場は電気がついていて音楽も流れている

文字通りの通夜・・・
この日通夜は朝まで続いた・・・

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