HOME > 闘病記 > 10月22日(日)

 

闘病64日目

2005/10/22
  午前9時55分永眠
心拍数 81
死因 → 低酸素性脳症
原因 → 急性呼吸循環不全
急性呼吸循環不全に陥った原因は不明
要するに、なぜ呼吸が止まって脳死状態に
なったかはわからないと言う意味です。
血圧 測定できず
体温 34.3
状態 目は開いたまま、心拍数が低くアラームが止まらない

朝起きたとき、微笑みながらハルのほっぺに触る
『おはよう~』そしてモニターを見た

ドキっとした
心拍数が80台になっていた

対向しに来た看護婦さんに『大丈夫かな』と話すけど
看護婦さんも『う~ん』としか言えない

でも昨日も朝は心拍数が低かったし・・・
そう思いながら歯を磨いたり顔を洗ったり



『落ちてきてる・・・(心拍数が)』

『ハル~、ママの顔見える?』と目の前に顔をもっていく
返事はない



そして呼吸器のアラームの代わりに、心拍数のアラームが鳴り始めた
怖い・・・心拍数は70台になっていた

ちょっとパパに電話してこよう、
今日は土曜日だから家にいるしダイゴと早くここに来て欲しかった


私 『・・・パパ?ちょっと心拍数が下がって来たの、来れる?』
パパ 『お、おう。わかった』

急いで病室に戻ると看護婦さんが『パパ来るって?』と聞いてくれた
『はい』そういいながらボーっとハルの顔をみつめる

心拍数はすでに60台・・・
主治医の先生が来た『お父さんはいらっしゃいますか?』



なんでみんな同じ事を聞くの?何?もうだめなの?

怖い・・・
もうモニターも見れなかった


ベットの脇でイスに座ってハルの顔を見ていたら先生方がずらっと入ってきた

嫌だ・・・
お願い、パパ、ダイゴ早く来て!


モニターをチラッと見たらすでに心拍数は40台・・・
ハルの顔ももう見る事ができなくて、手で顔を覆って泣いていた

自分が決めた事だった、延命しないと決めたのは私
早く楽にしたいと思っていたけど・・・でも、でもやっぱり・・・



――― 嫌だ、死なないで・・・ ―――



ちょうどハルの体の向きは私の方ではなく、反対側の窓の方を向いていた

そんな時、ダイゴの走る足音が聞こえてきた
バタン!『はぁ、はぁ・・』

ダイゴは迷わずハルの顔が見える窓際へ行った
『ハル~!死なないで!あんなに頑張ったじゃないか!
あんなに、あんなに頑張ったじゃないか!』

ビックリした・・・
5歳でまだまだ子供だと思っていたのに、私よりしっかりしている

現実から逃げていた私・・・
でもダイゴの隣へ、ハルの顔が見える窓際へ行った
そしてパパが入ってきた

バタン!『はぁ・・はぁ・・』

モニターを見たパパの目はもう赤くなっていた


パパ 『ハル~、頑張ったな・・・頑張ったな・・・もういいぞ・・・』
ダイゴ 『ハ~ル~、うぅぅ~』

そして・・・
パパとダイゴを待っていたかのように、静かに静かに息を引き取りました
初めて聞くアラーム音、心拍数0の音




ハル~ ごめんね・・・ ごめんね・・・ 苦しかったね、辛かったね、でももう終わったよ・・・
楽になったよ・・・ 良かったね、家に帰れるよ・・・早く家に帰ろう。




そして綺麗にしてもらう為、一度待合室に行くことに・・・
その前に主治医の先生から話があった

『解剖はどうされますか?』

きた・・・
いろんなHPを見て解剖しなきゃいけない・・・
と思い込んでいたので躊躇していた

『土日は解剖できませんので、月曜日以降になりますが・・・』
その一言で解剖をしないと先生に伝えると
以外にもあっさり『わかりました』と言われ、拍子抜けした



なんだ!しなくても良かったんだ、
今後の為にとか言われて解剖しなきゃいけないのかと思っていた

ハルは十分頑張ったし、何よりももう痛い思いをさせたくはなかった・・・




その後の待合室での事はあまり記憶にない
ただ、会社には連絡しなきゃいけなかった。
そう、私の会社は葬儀屋だ


平静を装って電話をしたら・・・良くお世話になっている人が電話に出た



しゃべれなかった、泣いて言葉が出てこなかった・・・
思わずしゃくりあげて泣いてしまった。

『も、もしもし!?』
ビックリした様な声が聞こえて我に返った

いけない、しっかりしなくちゃ!

『お疲れ様です○○です、今ハルが亡くなりました・・・
一度アパートへ戻りますので、午後から入館しますが大丈夫ですか』

会社の人が何か言っていたけど・・・あまり覚えていない




そして看護婦さんに呼ばれてまた病室に戻った

『ハル~・・・綺麗にしてもらって良かったね』
久しぶりに見た管も何も付いていないハルの顔・・・



ただ寝ているみたいだった


すんなり抱っこできるのも何日ぶりだろう、いや、今日で64日目

後頭部の少し出血していた所はみるみる色が悪くなってきた
『帽子をかぶせようかパパ』

家から持って来ていたお兄ちゃんのお古のニットキャップがまた良く似合った
まさかこんな形でかぶせる事になるなんて・・・


しばらくするとICUにいた時の看護婦さんがずらっと入ってきた
一人一人ハルにお別れをしてくれた

でも仙台幸子をくれた看護婦さんはいなかった
今日はお休みなのかな・・・残念
最後にお礼をしたかったのにな

このHPも見てくれていました。
本当にありがとう!仙台幸子は幸せをくれたよ。
ハルがまた家に戻れることになったし、何よりも楽になりました。

きっと苦しまずに逝った事でしょう


そして主治医の先生方などに見送られて病院を出ました
もうここに来ることもない・・・もう来たくない






アパートに帰るとすでに昨日帰ったメンバーが集まっていました
ハルを抱きながら入るとみんなが声をかけてくれました

『ハル頑張ったなぁ、みぃちゃんも頑張った、頑張った頑張った』
・・・ありがとうみんな

そして入館の準備を始めたんだけど・・・
なかなかうまくいかない、要領が悪いというか・・・
なんだかんだしているうちに3時になりアパートを出る事に

最後にハルに見せよう、とアパートの中を1周してから車で会社に向かいました

もしもの時にバタバタしないように葬儀の準備を・・・なんてここでも言っていたけど、
結局できたのはハルの動画のDVDだけでした。
携帯の動画をDVDに焼いてもらったもの・・・
やっぱり生きているうちに葬儀の準備なんてできなかった




会社に着いてホールに入る時、誰かの葬儀の後だったらしく
掃除の真っ最中だったのか、それとも出迎えてくれたのか、
周りにはお手伝いのスタッフがいたのを覚えています
でもとてもみんなの顔を見る事ができなくて、
ハルを抱っこしたまま安置室(普通の和室)に入りました

アパートから持って来たハルの布団がひかれ、そこにゆっくりハルを寝かせました



かわいいなぁ・・・



寂しくないように病院にいた仲間たち、家にあった人形などを側に置きました

そして会社の人達がお線香をあげに来てくれました

『大変だったなぁ、気を落とすなよ!お兄ちゃんもいるんだから、しっかりな』
わかってますよ。大丈夫、大丈夫・・・

そこから葬儀の打ち合わせ・・・これも結構時間がかかります
決めなきゃいけないことが沢山あって・・・

こんな形で葬儀の流れを知るとは思っていませんでした
そう、私はまだ入社4ヶ月目の新入社員

そんなこんなしているうちに親戚が続々とやってきました

そしてご住職がいらっしゃって、
枕経(亡くなった後にあげる初めてのお経)をあげていただきました


そのお経もすぐ終わり、また打ち合わせや棺を決めたり・・・
やっぱりハルとあまり一緒にいれないな(別室で打ち合わせ)

この頃になると感情も少しおかしくなってきていて、
部屋に戻るとすぐハルを抱っこしました


『何してんの?』ってお義母さんに言われたけど、
この後小さな棺にハルを入れてしまうから・・・

『棺に入れる前にね、大丈夫、大丈夫』



本当はこのまま二人きりになりたかった・・・
ベビーカーに乗ってお散歩とか・・・



そして棺に入れる時間になり会社の人が来ました
葬儀社『それではご遺族の方は外でお待ちください』

でも私は会社の人間だし、とか
訳のわからない事を言って一緒に納棺させてもらいました

もう今の私はかなりひねくれていてワガママ言いたい放題
でも快く『いいですよ』と言ってもらいました

ドライアイスが体の下に引かれ、また冷やされていきました

嫌だな・・・



葬儀社『それでは、ここからはできるだけ蓋を閉めて下さい。ドライアイスが融けてしまいますので』
私『わかりました、大丈夫です』 ←わかっていない


その後も葬儀に出られない遠くの親戚などが集まって来てくれました
ごめんね、遠いのに。本当にありがとう

そしてこの日も地震があって、結構揺れました
またあの気持ち悪い揺れ方・・・

そしてお線香をあげ続け、夜が更けていきました・・・




いつの間に寝ていただろう、お兄ちゃんを寝せようと思ったら一緒に寝てしまいました
でも病院での2時間おきの対向のお陰か2時間で目が覚めました

お線香はまだ大丈夫だな・・・
でもちょっとこのお線香の匂いがきつすぎて頭痛がしてきました

でもしっかりしないと!

布団の中で目をつぶっていても考える事はハルの事ばかり
元気だった頃のハルの笑い顔、かわいいんだよね
そして可愛いあの仕草、声・・・
そんな事ばかり考えていたら眠れなくなってしまいました



そしてこの夜の天気は本当に怖かった
大雨、雷、ヒョウ、地震
今までこんな天気は覚えがない
後から聞いた話では、ヒョウは実家の方で降ったらしく、畑が全滅したそうです
そして同じ町内の『漁船』も嵐とヒョウでバラバラになったり、他の所では土砂崩れがあったり・・・

ね、ハル怒ってるの?
『ママ、どうして助けてくれなかったの?』
『どうしてお仕事ばかりしてたの?』
『ボクはずっと一緒に居たかった、生きていたかったのに!』って・・・

ごめんね、ごめんね、ごめんね、本当にごめんね・・・




しばらくすると隣でダイゴがうなされ始めてきました
(この頃、ダイゴもおかしかった)

ハルの事が大好きだったダイゴ
一緒によく遊んでくれていたダイゴ
大好きなハルが死んでしまったんだもんね

彼なりに苦しんでいたんだろう、うなされていたと思ったら
急に訳のわからない事を叫びながら寝ながら暴れ始めました


ダイゴの腕が隣で寝ていた私の鼻を直撃して鼻血が出てしまっても
『ボクじゃない!知らないよ!うわ~ん!』 と泣き叫びます。

私 『パパごめんお願い・・・』
そういいながら鼻を抑えて隣の部屋に移動しました

隣の部屋ではテレビを見ながら待機していた義父が
『なんだ騒がしいな~、あぁ?鼻血出てんなぁ~』

私 『う~ん、大丈夫大丈夫・・・』

時間を見ると朝の5時頃
そのまま起きてハルの遺影写真を決め始めました
でもさっぱり決まらなくて・・・

この時のハルはどうだとか、この時のハルはああだったとか・・・
写真を見ながらずっとそんな話をしていました

→ 次の日